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コミットメントライン

コミットメントライン(Commitment Line)とは、銀行融資枠と呼ばれています。銀行融資の1つです。企業と金融機関(銀行など)とあらかじめ融資する枠(コミットメントライン・限度枠)を設定しておきます。期間内であれば、この枠内でいつでも借入をすることができます。すなわち、限度枠内であれば、審査などの手続きを経ることなく融資してもらえます。このコミットメントラインにより、企業としては安定的な資金の確保、不足時における資金融通が可能となります。

▼ コミットメントラインの種類  ▼ コミットメントラインの契約方法 
▼ 特徴 ▼ デメリット ▼ 企業評価の上昇  ▼ 結びにかえて

コミットメントラインの種類

コミットメントラインにも2つの種類があります。@コミットメントライン(スタンドバイ)、Aリボルビングラインです。この2つは、あらかじめ設定された枠の使い方により異なります。
昨今、コミットメントラインの進化系として、新株予約権を用いて融資を得た効果と同様の手法(エクイティ・コミットメントライン)も登場しています。

コミットメントライン(スタンドバイ)
  非常時・不測の事態が生じた場合にとの緊急に資金が必要となる場合に備えて、一定の融資枠を確保しておくことです。一般的な資金調達(運転資金など)を目的として行われるものではありません。非常時・不測の事態以外については、資金を引き出さない(融資を受けない)ことが前提とされます。
リボルビングライン
  いつでも資金が必要となった場合には、融資を得ることが出来る契約です。一般的な資金調達の目的として行われるものです。コミットメントラインと言えば、このリボルビングラインを指すことが通常です。
エクイティ・コミットメントライン
  新株予約権を用いて、金融機関などから資金調達する方法として注目されています。資金調達を予定している会社が、金融機関等に対して、新株予約権を発行します。割当金融機関との間で、コミットメント条項契約を締結します。発行会社の指示で、割当側が新株予約権について行使します。また、行使禁止条項について附して、コントロールします。最大のポイントは、新株予約権の権利行使の主導権を発行会社が握っている事です。

金融機関等から直接資金を借り入れないで、新株予約権を用いて同様の資金調達の目的を達成する事ができるので、活用の幅が広がります。直接、金融機関などから借入れるわけではありません(デッドではない)

導入するに際して、コミットメントライン条項(契約)については、発行会社及び引受会社間で効力が生じます。この点を考慮しつつ、更なる細かい法律的手当てを行う必要があります。

コミットメントラインの契約方法

コミットメントラインには、2つの契約形態があります。@バイラテラル(bilateral・相対型)Aシンジケート方式(syndicated・協調型)です。

⇒シンジケートローンの詳細はコチラ

特徴

企業・金融機関との間で融資枠(限度額)・期間が決まっていて、その枠内であれば、自由な借入を行うことができるので、企業としては融通が利きます。急に資金が必要となった場合、予想された範囲超えた場合でも、再度の審査を得る必要がありません。また、銀行としては、設定したコミットメントラインについては断ることはできません。必ず、融資枠については融資しなければならないことを意味しています。融資を受ける側(借り手)からすれば、大きなメリットがあります。もっとも企業にとっては、流動的に資金を確保することが可能となる一方で、金融機関に対して、金利とは別に手数料(Fee)を支払う必要があります。実質的には、融資枠(限度額)までの金利を支払います。

デメリット

融資枠内であれば、いつでも自由な借入をすることができる反面、デメリットもあります。一番の問題は、手数料(Fee)です。融資枠を設定する場合には、アレンジメントフィーが発生します。また、使っていない融資枠(借入していない額)にはコミットメントフィーが発生します。例えば、融資枠が1億円として、現在5000万円の融資を得ているとします。5000万円(未利用金額)×○%のコミットメントフィーが発生します。自由に利用できるが、利用していない部分においても手数料を支払う必要があります。 あまりに高い枠を設定すると支払う手数料も高くなります。

企業評価の上昇

金融機関は、契約期間内においては、設定したコミットメントラインは断ることができません。これらの契約を締結するについて、金融機関は慎重に審査をします。すなわち、コミットメントラインを導入できること自体が、一定の財務内容・事業の将来性が優良と認められたことを意味します。このため契約書には、財務制限条項や不可抗力条項などが盛り込まれています。

結びにかえて

コミットメントラインは、企業が自由に機動性のある資金調達を行うには、かなり良い方法です。もっとも融資枠に対しての手数料が発生することから、やみくもに設定すると手数料の支払いが高額になる可能性があります。コミットメントライン契約書には、さまざまな契約条項が規定されています。個別の契約条項について精査した上で、コミットメントラインの設定枠の調整を行ったり、契約の可否を決定する必要があります。 企業における資金調達の方法は多種多様です。それぞれの目的・事情を考慮したベストな資金調達の方法を選択することが肝要です。