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デッド・デッド・スワップ(DDS)

デッド・デッド・スワップ(DDS)とは

デッド・デッド・スワップ(DDS・Debt Debt Swap)とは、負債(Debt)を負債(Debt)に転換(Swap)することです。企業などが銀行などの金融機関に対して負っている負債(借入)を別の性質の負債に転換することを意味します。一般的に負債(借入)を返済するには、順序があります。複数からの借入金について一度に全てを弁済することはありません。返済の順序があります。このデッド・デッド・スワップ(DDS)は、返済の順序・時期を変更することです。劣後ローンなどと呼ばれたりします。

例えば、A銀行に最初に返済しなければならないとして、このDDSを行うことになり、A銀行への返済は後回しにすることが可能です(劣後)。返済順位・時期が他の債権者に対して後回しになるので、劣後と呼ばれます。このデッド・デッド・スワップ(DDS)は、中堅企業などの企業再生の手法として用いられることがあります。特に債務超過に陥っている企業の再生の手法として活用されます。

同じように企業再生の手法として、デッド・エクイティ・スワップ(DES)もあります。このデッド・エクイティ・スワップ(DES)は、債務を株式などの資本に転換する方法です。デッド・デッド・スワップ(DDS)とデッド・エクイティ・スワップ(DES)の違いは下記のとおりです。

⇒デッド・エクイティ・スワップ(DES)の詳細な内容はコチラ

▼ デッド・デッド・スワップの留意点 ▼ デッド・デッド・スワップのメリット・デメリット 
▼ 結びにかえて

デッド・デッド・スワップの留意点

金融庁は、金融検査マニュアル別冊において、債務超過に陥っている中小企業の支援として、下記の要件を満たしている場合には、劣後ローンについて資本としてみなすことができるとしています(疑似資本)。本来であれは、返済する必要があることから、資本として扱うことができません。もっとも、返済期間が延長されることにより、返済期日までの会社を立て直すことも十分に可能であることから、資本に準ずる扱いとすることにしているようです。

劣後ローンについての契約が金融機関と債務者との間で双方合意の上、締結されていること
契約内容に、原則として以下の全ての条件を付していること
@ 劣後ローン返済(デフォルトによらない)については、劣後ローンへの転換時に存在する他の全ての債権及び計画に新たに発生することが予定されている貸出債権が完済された後に償還が開始すること (注)経営改善計画が達成され、債務者の業況が良好となり、かつ、劣後ローンを資本と見なさなくても財務内容に特に問題がない場合には、債務者のオプションにより早期償還することができる旨の条項を設けることは差し支えない。
A 債務者にデフォルトが生じた場合、金融機関の劣後ローンの請求権の効力は、他の全ての債権が弁済された後に生ずること
B 債務者が金融機関に対して財務状況の開示を約していること及び、金融機関が債務者のキャッシュフローに対して一定の関与ができる権利を有していること
C 劣後ローンが、Bその他の約定違反により、期限の利益を喪失した場合には、債務者が当該金融機関に有する全ての債務について、期限の利益を喪失すること
ここでいう中小・零細企業とは「中小企業基本法」で規定する中小企業者及びこれに準じる医療法人、学校法人等とする。ただし、出資比率や経営の状況からみて大企業の関連会社(財務諸表規則における関連会社をいう)と認められる企業を除く。
その後上記、2の諸条件を満たさなくなった場合には、劣後ローンを当該債務者の資本とみなすことができないものとする。

 

デッド・デッド・スワップのメリット・デメリット

デッド・デッド・スワップ(DDS)を行うことにより、企業側・金融機関においてもメリットがあります。もっとも、良い点ばかりではなく、デメリットも当然にあります。それぞれの事情を勘案して、活用する必要があります。

メリット

実質的債務超過である場合は、疑似資本とされるので債務超過が解消される。
金融機関による自己査定上、債務者区分が上昇し、新規融資も可能となる。
劣後債権となることから、支払い猶予がなされる
株式を発行しないので、議決権行使などにより経営に口出しされない等

デメリット

支払い期間が延びたにすぎず、元本を返済する必要がある。
金利の支払いを行う必要がある。
コベナンツなどの契約条項による一定の監視が行われる等。

結びにかえて

企業再生のためには、様々な方法があります。債権放棄なども数ある手法の1つです。もっとも債権放棄すれば、一切の返済がなくなることから金融機関なども応じることは厳しいといえます。もっとも、返済の時期・順位が劣後しても、回収できる可能性があるデッド・デッド・スワップは、応じてくれる可能性があります。中堅企業の金融の円滑化のために、DDSも有効な方法と考えられます。

企業にとって資金繰りは生命線です。資金がショートすれば、事業が立ち行かなくことはもちろん、倒産する危険もあります。日頃から資金繰りについては注意をする必要があります。債務圧縮のための方法は多種多様です。個々の事情に合わせて、それぞれの手法のメリット・デメリットを勘案して、ベストな方法を選択することが企業の明日にとって必要不可欠です。