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国などによる中小企業支援

【国による中小企業支援制度の概要】
国や地方公共団体による企業支援は行われています。特に金融機関(銀行など)が破綻危機になった場合には、公的資金(税金)を注入して、破たんしないように金融支援を行っています。一般的には大企業に対する支援は耳にする機会は多くあります。

他方で、我が国では中小企業が全企業数の99%以上を占めています。この現状を踏まえて、国や地方公共団体による中小企業支援制度もあります。あまりニュースに取り上げられる機会も多くないので、馴染みが薄いかもしれません。

新たな事業を行うには資金(運転資金)が必要となります。資金調達の方法は多種多様です。株式発行などによる資金調達(ストラクチャードファイナンス・エクイティファイナンス)以外、金融機関から直接融資(借入)を行うには、いずれの場合にも担保が要求されることがほとんどです。担保の無い企業に対しては、金融機関は資金を融資してくれることはありません。現状として、多くの中小企業は、担保を有しないケースがあります。このような企業に対して、必要な資金を調達することができるように国などが支援を行ってくれます。

具体的には、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律(中小企業新事業活動促進法)により整備されています。この法律により、国や地方公共団体が中小企業を支援します。ここでの支援は、資金融資や税制などの金融的側面支援となります。大企業と異なり、中小企業は金融機関などから資金調達を行うのは困難な場合が多く、一定の公的機関による支援の必要があります。昨今の経済時事により、さらに融資を得ることが困難となりつつあります。

 そこで、中小企業の新規事業活動を促進するための法律により、民間の金融機関などから資金を調達することが出来ない企業などに、公共団体が資金調達可能となるような支援を行うことにより、事業活動をサポートします。

中小企業新事業活動促進法は、「新規事業」で、「相当程度の経営向上」を行うことを支援する制度です。倒産を回避するために資金的な支援を行うことを目的としていません。

▼ 中小企業とは ▼ 支援を受けるための申請 ▼ 具体的な支援策
▼ 申請に必要な書類 ▼ 結びにかえて(当事務所の関わり)

中小企業とは

中小企業新事業活動促進法の適用を受けるためには、法律の定める「中小企業」に該当することが必要です。当然、「中小企業新事業活動促進法に定める「中小企業」に該当しなければ、金融支援などの支援を受けることはできません。法律が定めている中小企業の定義は次のとおりです(中小企業新事業活動促進法2条1項)。

「資本金及び従業員の基準をいずれも満たす必要があります。例えば、サービス業を営むA企業が資本金2,500万円で、従業員が120名とします。従業員数は法律の要件を超過していますが、資本金の額が法律の要件を超えていません。つまり、A企業は中小企業に該当します。

業 種 資本金 従業員数
製造業・建設業・運輸業 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5千万円以下 100人以下
小売業 5千万円以下 50人以下
ゴム製品製造業
※自動車・航空機タイヤ・チューブ製造業・工業用ベルト製造については除く
3億円以下 900人以下
ソフトウェア又は情報処理 3億円以下 300人以下
旅館業 5千万円以下 200人以下

支援を受けるための申請

中小企業新事業活動促進法における中小企業に該当するとしても、常に支援を受けられるわけではありません。法律による承認を得るための申請を行うことになります。ここでの「承認」とは、具体的な支援を受けることができる"お墨付き"です。

この承認がなければ、中小企業新事業活動促進法に基づく支援を得ることはできません。この申請書は、公的機関に提出する事業計画書としての性格を有しています。公的機関からの金融支援は、税金が基になっています。倒産する企業の延命資金で無く、これから飛躍する企業に対して、活動を支援することを目的としています。最低限の企業審査が行われます。

※承認が得られても確実に支援が得られるわけではありません

具体的な支援策

申請により承認が得られると具体的な支援が得られます。支援の内容は次の通りです。

信用保証の特例
金融機関から借り入れを行う場合に、信用保証協会が保証してくれます。 普通保険(保証)2億円・無担保保険(保証)8,000万円(無担保無保証人の場合は1,250万円)が一般的です。特例として別枠で同額の保証を行ってくれます。特例が適用された場合は、総額で普通保険(保証)4億円・無担保保険(保証)1億6000万円までの保証がなされることになります。
※あくまでも限度額であり、個々の企業の状況などにより個別の額が決定されます。
政府系金融機関による低利融資
日本政策金融公庫による低利融資を利用することができます。 【新事業活動促進資金の場合】 限度額  7億2000万円(運転資金は2億5000万円) 融資期間 20年以内(運転資金は7年以内)
中小企業金融公庫・商工組合中央基金による融資。この融資について一定額(5,000〜8,000万円位まで)は担保免除がおこなわれます。すなわち、担保無くして融資がなされます。個々の企業の事情を精査して個別的な額が決定されます。
※神奈川県の場合は別途独自の融資制度があります。限度額は8,000万円で、融資期間は10年(運転資金は7年)
高度化融資制度
中小企業が共同で工場団地などの建設を行うなど一定の大規模な設備建設を行う場合に都道府県と独立行政法人中小企業基盤整備機構の診断・アドバイスに基づいて低利の融資が長期に受けることができます。
小規模設備資金貸付の特例
経営基盤の強化に必要となる設備資金の半額を無利子で貸付けてもらえます。
特許申請料の減免
経営革新計画における技術開発の特許申請に関する費用を半額となる申請を行うことが可能となります。

申請に必要な書類

中小企業新事業活動促進法に基づく申請には次のような書類が必要となります。ここに記載されている書類以外について必要となる場合もあります。あくまでも必要最低限であると認識する必要があります。

承認申請書(代表者印が必要)
定款の写し(法人の申請の場合)
登記簿謄本(法人の場合)・住民票(個人の場合)
直近2期の決算書・営業報告書(これらが無い場合は、事業概要など)
許可証(事業を行うについて許認可等が必要な場合)
申請者及び計画内容の概要を説明する書類
申請内容に関する資料
会社の概要・概略を示す書類

結びにかえて(当事務所の関わり)

中小企業にとって新規事業を行うに必要な資金を有利な条件で調達することが出来るのは、メリットが大きいといえます。特に将来性のある事業に対して、資金的な支援が得られる意義は大きいと言えます。

民間の金融機関(銀行・ノンバンクなど)からの資金調達(借入)を行う場合には、リスクが大きい場合は、金利も高額になってしまいます。金利の支払いだけても相当になります。短期の資金・ブリッジ融資・コミットメントライン設定などの手数料も高額になる可能性があります。この点、国や地方公共団体の金融支援は、担保が要求されないなどのメリットも大きいといえます。返済期間も比較的長期になり、じっくり事業計画を立てることが可能となります。

ただ、承認を得るのが難しいのでデメリットもあります。承認を得ても必ず支援策を受けられるとはかぎりません。民間の金融機関の場合も事業計画などの多数の書類が要求されることと比較すると内容として、ハードルは決して低くありません。

富山綜合法務事務所は、資金調達・ファイナンスを得意としており、中小企業新事業活動促進法による承認を得るために必要なサポートを行います。要求される書類を提出すれば承認が得られるように簡単なものではありません。法定以外の書類も準備して、承認を得るために全力でサポートします。場合によっては、他の資金調達・ファイナンス手法も併せてご提案いたします。国及び地方公共団体による支援と他の資金調達の方法を組み合わせると、より豊富な活動資金を調達することが可能となります。

また、支援を得た後の事業を継続するために必要な法律的なサポートの一切、紛争予防のために必要と思われる法的アプローチ支援も行っています。契約書の作成・条件交渉・事業再編などの戦略に欠かせない法律に基づいた手続きの履行・行政機関に対する許認可申請・折衝などの業務も行います。法律的な側面の一切を全力でサポートできる事務所です。事業の遂行に必要となる助言を行います。

国や地方公共団体による金融支援をお考えの会社経営者の皆さまに最善の方法を提供致します。経営改善・事業承継・戦略的M&Aなどの企業政略法務全般に関するご相談も随時受け付けています。まずは、お問合せください。