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一. 動産(建設機械、船舶、航空機等)担保ファイナンス

身近な動産について活用する手法は、質権等により従来から行われています。質屋に品物を預ける事によって、お金を融通して貰う事です。但し、昨今は、お店側に買取ってもらう事が多く、厳密には、質権の設定とはいえない状況もあります

企業においては、不動産でなくとも、建設機械、航空機、船舶等の価値を有する動産を保有しているケースがあります。かかる場合に価値を有している動産を担保化する事でファイナンス(資金調達)が可能となる事案があります。相当の担保価値を有するモノでなければ、ファイナンスに向きません。

もっとも、動産の担保権(質権)を設定する場合、担保権者が占有する事が必須です。設定した者(調達する側)が占有する事ができないので、担保権を設定すると、日々の業務執行に影響がでます。一般的には、動産に抵当権を設定する事はできないので、動産質権以外について、活用の幅が少ないのが現状です。

一定の動産(建設機械、航空機、船舶等)において、抵当権が設定できる事により、自己に占有を残したままファイナンスが可能となります。抵当権は、対抗要件として登記ができるので、第三者に対しても自己の抵当権を主張する事が可能となります。

ABLとは異なり、一定の価値を有する動産を担保とする事で、ファイナンスを行う事ができる点が、メリットとなります。ただし、担保化するために必要不可欠な事は、登記等の対抗要件が設定出来る事です。

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二. 具体的な動産担保ファイナンス

■建設機械の場合
ショベルのついた掘削機械、0.5トン以上の重さのハンマーを備えた基礎工事機械などの建設機械は、所有権を有する建設業者の申請により所有権登記をする事が可能です。所有権公示が可能となれば、抵当権の目的とする事が可能です。

動産担保としてファイナンスが可能となります。建設業者は、自己占有する事ができるので、建設機械をそのまま使用する事ができます。融資する側は、登記する事で自己の担保権が確保されるので、資金調達が可能です。

■航空機の場合
航空機も動産扱いです。もっとも航空機も登記(登録)をすることが可能です。この登記(登録)により、抵当権を設定する事が可能です(航空機抵当法3条)。通常の不動産抵当と概念は変わりません。

航空機を活用してのファイナンスも十分に可能です。もっとも、航空機の場合は、リース契約等も複雑なファイナンススキームも組み合わせる事が多くあります。航空機単体での動産担保ファイナンスも十分に可能です。

■船舶の場合
船舶についても登記(登録)することが可能です。もっとも、船舶の場合に登記できるのは、20トン以上の大型船舶です(船舶法第5条1項、船舶法第20条)。また登記できる内容は、船舶所有権、船舶賃借権、船舶抵当権のみです(船舶登記令第3条1項)。

大型船舶については、ファイナンススキームを構築する事が可能です。リースなどと組み合わせ等、ストラクチャードファイナンスに向いていると思われます。

■農業動産の場合
農業に使用する動産(牛・馬等)について抵当権の目的とすることが可能です。もっとも、所有権については登記されないので、注意が必要です。種・肥料などの購入代金について借入した場合は、先取特権が成立します。

三. 活用における留意

動産担保についてのファイナンスは、幾つかある手法の1です。不動産が無くとも価値のある動産に着目して、これらを活用する事で必要な資金調達を行う手法です。単体で活用する場合、他の手法を組み合わせて用いるなど枠組みは多岐にわたります。

当事務所は、ファイナンスの手法から実行(アレンジ)に至るまで、状況に応じた助言を行っております。ファイナンスだけでなく、取引に必要な法律的助言も含めた総合サービスを御提供致します。実行に関する事項は、お気軽に御相談ください。