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デッド・ファイナンス

デッド・ファイナンス(Debt Finance)とは

デッド・ファイナンスとは、Debt(負債)・Finance(金融)を意味します。直訳すると負債による金融(資金調達)です。一般的には、借入金融と呼ばれています。企業などの営利法人や医療法人などの非営利法人が業務遂行上、必要となる資金を調達する方法として一般的に用いられる方法です。具体的には、銀行などの金融機関からの借入、社債発行、私募債などによる資金調達を示します。

このデッド・ファイナンスは負債が増加することになります。すなわち、調達した資金は、いずれ返還しなければなりません。これに対して、資本の増加を伴うエクイティ・ファイナンスにおいて調達した資金は返還する必要がありません。デッド・ファイナンスの特徴として、調達した資金の返還、利息の支払いが挙げられます。

⇒エクイティ・ファイナンスの詳細はコチラ
⇒私募債(縁故債)の詳細はコチラ

▼ デッド・ファイナンスの具体例 ▼ デット(負債)からの脱却 ▼ 結びにかえて

エクイティファイナンスの種類

銀行などの金融機関から借入れるとしても手法は様々です。@単に必要な資金を融資してもらう方法や、A一定の限度額について設定してもらい、その枠内であれば自由に引出可能となるコミットメントライン、B社債を担保に融資を得る、C無担保のビジネスローン、Dつなぎ資金としてブリッジファイナンスなどがあります。いずれの場合においても、調達金利が必要となります。特にコミットメントラインやブリッジファイナンスにおいては高額になってします可能性があります。

金融機関からの融資を受ける場合は、担保が要求されます。一般的には、不動産です。もっとも昨今では不動産の価値が下落していることから、思うような資金調達が進まないことも十分にあります。また、不動産を所有しない場合には、動産(債権・在庫など)を担保として資金調達をする方法もあります(ABLファイナンス)。単一の金融機関からではなく、複数の金融機関と同一の条件で融資を得るシンジケートローンなどもあり、デッド・ファイナンスの手法が多様化しています。調達する資金の額や個々の事情に応じて、ベストな資金調達の方法を選択する必要があります。

⇒コミットメントラインの詳細はコチラ
⇒資産担保による資金調達(ABL)の詳細はコチラ
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デット(負債)からの脱却

借入手法による資金調達を行って後で、返済しなくても良い資金に変換(swap)する方法もあります。すなわち、負債であったはずの資金を返済不要の資金に変えることが可能となります。この変換(swap)手法を用いると、貸借対照表(バランスシート)の負債であったはずの項目が資産に変わります。手法としてデッド・エクイティ・スワップ(DES)と呼ばれる方法と、新株予約権付社債を発行する方法があります。

デッド・エクイティ・スワップ(DES)

 負債を資本に変換する手法です。債務の株式化と訳されることもあります。具体的には、新株払込方式と現物出資方式があります。なお、デッド・エクイティ・スワップ(DES)の詳細は、別のページにおいて説明しています。
⇒デッド・エクイティ・スワップ(DES)の詳細はコチラ

新株予約権付社債

新株予約権付社債は、通常の社債に新株を引受ける権利(新株予約権)が附されています。一般的には、新株予約権を行使する際に、社債の価格をそのまま権利行使価格に設定することが行われます(転換社債型新株予約権)。すなわち、新株予約権を行使すると社債は償還(消滅)することになります。社債が新株に変化するので、もはや社債を償還(返済)する必要がなくなります。

もっとも、社債権者が新株予約権を行使しなければ、社債は株式に変化しません。満期において社債価格に利息を附して償還(返済)する必要があります。このように新株予約権付社債を発行することで、将来において返済不要な株式に返還することも可能となります。

結びにかえて

デッド・ファイナンスは、元金と利息を返済する必要があります。利息も高額となる可能性があることから、常に最善の方法とは言えません。資金調達の方法も多様化しており、それぞれの目的・用途に合わせて調達方法を選択することが肝要です。特に担保が生み出す将来の価値を担保とした資金調達の方法もあります。借入にのみ頼る時代は終わりを告げるかもしれません。それぞれの手法の良い点をうまく組み合わせた資金調達スキームを構築することが将来の成長戦略に欠かすことのできない鍵となると思われます。