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シンジケートローン

シンジケートローン(Syndicated Loan)とは、協調融資と訳されています。幹事金融機関(アレンジー)が他の複数の金融機関(シンジケート団)を取りまとめます。そして、複数の金融機関が同一条件で1社に対して融資を行います。例えば1億円が必要として、1つの金融機関では融資できなくても、5つの金融機関がそれぞれ2000万円ずつ融資するスキーム(枠組み)です。

企業(借りる側)にとっては、個別の金融機関などと融資交渉を行う必要がありました。また、個々の金融機関により、条件・金利・返済方法・時期などの条件も異なっていました。調達額が大きくなれば、金融機関と交渉をすること自体が事務負担となります。個々の金融機関としても、貸し倒れリスクの観点から、融資を断ったり、希望額の融資ができないなどの場合もあります。

この点、シンジケートローンであれば、幹事金融機関がシンジケート団(他の金融機関)と条件などを取りまとめてくれるので、企業(借りる側)は、幹事金融機関とのみ交渉すれば、良いことになります。また、設備投資などの将来に対する大規模の資金調達をスピーディーに行うことが可能となり、機動的に資金調達が可能となります。シンジケートローンにもメリット・デメリットがあります。借りる側の個々の事情を考慮しながら、ベストの資金調達の方法を選択することが必要です。


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▼ メリット ▼ デメリット ▼ 当事務所の関わり

メリット

複数から融資を得られる
  金融機関との相対での融資となれば、調達額も多くはありません。また、融資を受ける企業側の財務内容によっては、融資を断られる可能性もあります。融資する側が複数になれば、リスクを回避することが可能となります。相対では、融資しない可能性が高くても、融資を行うことも考えられます。例えば、1億円は貸せないけど、2000万円なら融資は出来る場合はあると思います。
事務管理の負担軽減
  シンジケートローンは、複数の金融機関との間で同一条件での借入ができます。個別に条件交渉をする必要がありません。返済する場合には、幹事金融機関(アレンジャー)がシンジケートローン参加金融機関に返済を行ってくれます。
金利の一本化
  貸し倒れの危険が高い場合は、融資を得られたとしても金利が高くなります。個々の金融機関により金利は異なるのが一般的です。シンジケートローンでは、全ての金融機関と同一の金利において借り入れることが可能となります。
案件ごとの資金調達
  個別の案件ごとに幹事金融機関がシンジケート団を構成することが可能となります。1つの金融機関から融資を得ている場合、更なる融資(追加融資)を得ることは困難です。シンジケートローンなら異なるシンジケート団を構成することになりプロジェクトごとに資金調達が可能となります。
金融機関のリスク軽減
  シンジケートローンに参加する金融機関にとっては、融資額が抑えられることから不良債権化のリスクを抑えることが可能となります。手数料はしっかり入るので、比較的に融資に参加しやすくなります。
資金の流動化・余剰資金活用
  金融機関としても余剰資金を活用できます。資金を手元にプールするだけでは、手数料収入は発生しません。あまりに危険が高いと不良債権化します。融資額を比較的抑えながら、手数料・金利での収入も確保できます。

デメリット

融資額が大きい
  一般的にシンジケートローンは、融資金額(調達額)が大きな場合に用いられる手法です。小口の資金調達の方法としては向きません。手数料・金利も発生するので、ある程度の調達額においての利用となります。もっとも昨今では、調達額も大きくない場合でも用いることが可能となっています。
手数料が発生
  シンジケートローンを組む場合には、さまざまな手数料(Fee)が発生します。幹事金融機関に対して支払うエージェントフィー、アレンジメントフィー、契約条項の変更をする際にも手数料が発生する場合もあります。
詳細な事業計画の策定
  複数の金融機関が多額の資金調達を行うために詳細な事業計画の策定が必須となります。金融機関としても、シンジケート団として参加するか否かは、事業計画の中身を詳細に検討します。
契約違反のペナルティー
  シンジケートローンの場合は、詳細な事項について契約書が策定されます。契約条項違反の場合は、資金の返済を行う必要があったり、契約が解除される場合もあります。返済の延期なども認められないことがほとんどです。

当事務所の関わり

シンジケートローンを組むには、契約書が必須です。条項も細かく規定されることが殆どです。表明保証、コベナンツなどの条項が組み込まれます。当事務所は、契約条件などの交渉、契約書の監査を含めた契約条項に関するアドバイスを行っています。また、他の資金調達の手法もご提案させて頂いています。個々の事情に応じて、最善の資金調達の方法を選択することが必須です。ビジネス法務・金融法務のご相談は随時受け付けています。